無名の一般人が「ぼくは社会不安障害」という本を商業出版した話
本を出してみたいなと思ったことがある人はいますか?
書くことが好きだから仕事にしたい。本がヒットして印税で儲けたい。
情報を発信したい。小説家にあこがれてなど、読書離れが進んでいても
本を出したい人は世間に山のようにいます。
ライターなども多いし、ブロガーなど文章を書く仕事をしている人も大勢います。
無名な人が出版社から商業出版で本を出すにはどうしたらいいのかなという人も多いと思います。(商業出版とは、出版社が本の製作費を出し、著者が印税をもらえるという皆さんがイメージしているような出版の形式です)
自費出版なら自分で本の製作費を出して出版。(費用がそれなりにかかります)
電子書籍ならITの知識があれば出版はできますが、
出版不況の時代では多くの本の中に埋もれてしまってほとんど売れないことが
大半です。
出版社から商業出版で紙の本を出すのはハードルが全く違います。
自分もその一人で本を出版社から商業出版したいと思っていて、
10万字ほどの原稿を書き上げました。
50社ぐらいの出版社に企画書と原稿を送ったけれど採用されたのは1社だけ。
基本的に出版社は小説の新人賞など以外では、大手は応募すら受け付けていません。
中小出版社もほぼ同様。
無名の人が内容のいい本を出しても著者の知名度がなければ、
販売部数が見込めないからです。
宣伝費用をかけられる出版社などは、色々宣伝がある場合もありますがレアケースです。
ブロガーの人で声がかかる人もいますが、固定の読者がいる人気ブロガーや
SNSのフォロワーが多いネット有名人やユーチューバーなどは、
出版社からオファーがくることもあるみたいです。
ただ、そういった有名人の本は本人が書いているケースは少なく、
ライターや編集者がゴーストライター的に書いていることが多いです。
昔ほど本が売れなくなってしまったので出版社も必死です。
応募をして反応のあった出版社は3社だけで、残りは不採用のメールがくるか、
送った原稿が不採用の定型文の紙と一緒に返送されてくるか
何の連絡もなしということもあたり前の世界です。
出版社には応募が多数なので、無名な人は基本的に相手にしません。
原稿もほぼ読まれません。
不採用になったある出版社の編集者には
「この原稿を有名人が書いているなら、会社としても売れる見込みがあると判断できるから出版の可能性が高いけれど、無名だと厳しいから無理です」
と言われてへこみました。
内容は悪くないということじゃないかと。。
ただ、1社だけ原稿を編集長が読んでくれ、出版社の会議を通過して採用になり
2017年の8月に彩図社という出版社から「ぼくは社会不安障害」という本を
出版することができました。
出版社の書籍情報公式ページ
発売後、いくつかの本屋に行ってみたら、置いてありました。
この光景は作者からするとうれしいです。
社会不安障害?何それという方はネットで検索すれば情報が出てきますが、
ネットの情報だけでは簡単に語れない非常にマズイ病気です。
だから、自分は当事者目線の本を出したいと思っていたのです。
今は病名が変更されて、社交不安障害、社交不安症と言われるメンタルの病気です。
この病気を発症している人が多いのです。
あがり症や対人恐怖症と似たような症状が表れることが特徴なのですが、
自分は小学生の頃に発症し、うつ病も併発したりなど波乱万丈な人生を送っています。
何がマズイかというと発症年齢は様々で、思春期などの学生時代に発症することが多いので、症状に悩んでいても性格の問題だと思い自分が社会不安障害だと認識できないケースが多く、
病状から学生生活や就職活動、仕事に支障が出てしまうんです。
ひどい場合は、学校に通えなくなる。就職活動で困る。
就職して仕事をしていても病状で適応が難しいなど患者にとってはとても辛い病気です。
社会に出てから発症する人もいます。
うつ病と同じくらい自殺率が高いという研究者もいます。
だから、自分は病気のことをネット情報や医師が書いた本だけではなく、患者目線の実体験で伝える必要があると思って、本を出したいと思ったわけです。
メンタルの病気なら心療内科やメンタルクリニック、精神科に行けば
精神科医が薬を出してくれて治るんでしょ?
カウンセリングとかは?
そういうメンタルの病気なら福祉制度が助けてくれるんでしょ?
と思っている人が多いようですが、現実はかなり違います。
そんな精神医療の問題や福祉の問題、ネットの情報ではそこまで多く語られていないことや、医師が書くよう内容とは大きく違った当事者目線の内容になっています。
また、病状が軽くなったエピソードや治療法なども書いています。
ちなみに出身大学の専修大学に本を出版したことを連絡したら、
内容を読んで大学の公式ホームページに載せてくれました。
こんな病気があります。治療法はこうです。
そんな内容の精神科医や医師が書いた本やネット情報はありますが、
現代医学では完全な治療方法は不明です。
軽度の場合は病状が良くなっている人もいますが、
テレビやネットのニュースでもメンタルヘルスのテーマを深く掘り下げた
報道もほぼないから、本で情報を発信したいと思ったんです。
メンタルの病気には偏見や差別も多く、他人事だという意識の人が多い社会ですから、そういう部分に関心を持つ人が少ないのは変わってほしいと思っています。
自分や自分の大切な人がメンタル的な病気を発症したらどうしますか?
そういうことはないと思うでしょうが、ガンなどと同様で誰でも発症する可能性があるのに、人は普段は意識しないもので、病気になってから困惑するんです。
その時に慌てても今の精神医療や福祉制度では困ることになると思います。
この本が多くの人に読まれて、社会不安障害の患者や他のメンタルの病気の患者の抱える問題や精神医療、福祉制度そして社会の偏見や差別意識がなくなるきっかけになればと思っています。
ネットで情報を調べるのが当たり前で読書離れが進んでいるけれど、他のジャンルの本や小説でも無名の人が書いている作品の内容がすごくいい場合も多いです。
なぜなら、出版業界の厳しい選考をくぐりぬけて出版になるレベルの内容を書いているから。
でも多くの無名の作家や物書きは印税なんてごくわずか。
今は印税だけで生活できる人は氷山の一角。
それなりの知名度のある作家やエッセイストなども、テレビ出演や講演、
セミナーなど他の仕事で稼いでます。
原稿を書く時間と労力を考えたら、
普通に仕事をしていた方がいいです。
自分も、仕事をやめても困らないような印税なんて入ってこないです。
映画などで映像化されるなど、奇跡でも起こらない限り本が広まることは、
なかなか難しいだろうなと思います。
病気を患っているので、人生もこの先どうなるかは、わかりません。
著書は本屋にもありますし、ネット通販や電子書籍でも販売されています。
興味を持った方は、
とりあえず『ぼくは社会不安障害』で検索して本を読んでみてくれると幸いです。
そしてSNSやブログなどで感想を発信して頂きたいです。
多くの人に本が読まれることを祈ります。